公開日: 2023/12/02
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自身で感じたキウイフルーツ革命を消費者の方にも感じてもらいたい(わかり始めたMy Revolution) – 三鷹市野崎 よしの園 吉野均さん


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 キウイフルーツのよしの園 吉野均(よしのひとし)さん

よしの園 吉野均(よしのひとし)さん
 

昭和56年7月10日生まれ、出身は埼玉県ふじみ野市。
趣味はラジオ・演芸鑑賞で学生時代はギターを弾いていたとか。
好きな果物は、キウイフルーツ、ナシ、モモ。

 

三鷹市野崎で、キウイフルーツを中心とした果樹生産をしている吉野均さん。
農業におけるこだわりや都市農業だからこその販売過程、これからの展望についてお伺いしました。
 

– 農業を継いだきっかけとその経緯を教えてください

吉野 均さん(以下、均さん) 元々は埼玉の食品スーパーで働いていましたが、妻とお見合いを通して出会い、1年で結婚したことがきっかけです。妻が農家の長女だったので、継ぐように言われてなくても継ぐ考えでした。
結婚してから1年は職場で働き、その後農業について1年間学ぶ期間を経て、2015年に本格就農しました。
元々実家の埼玉の方でも農家が多かったため、普通の人よりも農家のイメージが湧いていました。
また、食品スーパーで働いていたことから販売の経験や面白さを知っていたので、今も農家として生産から販売までの過程を楽しんでいます。

 

– よしの園で生産している品目を教えてください

均さん キウイフルーツをメインに生産しています。他にも、旬に合わせて柿や栗、みかん、甘夏、筍なども育てていますよ。

 

– 生産しているキウイフルーツの品種を教えてください

均さん 収穫できる順番に説明すると、赤いキウイフルーツは「紅妃(こうひ)」と呼ばれる品種です。全く酸味がなく甘いことが特徴です。
キウイフルーツとは全く別物の甘さで、糖度が20度を超える時もあります。
黄色いキウイフルーツは、小平市で生まれた「東京ゴールド」という品種です。糖度が13〜15度くらいで程よい酸味を味わえます。
一番目にすることが多い緑のキウイフルーツは「ヘイワード」と呼ばれます。この品種は紅妃、東京ゴールドと比べると酸味が強いです。よしの園で生産されるキウイフルーツの95%を占めます。
まずは、お子さんでも美味しく食べることの出来る赤・黄色を食べてもらって、緑のキウイフルーツを手に取ってもらえるようにしたいですね。父も私も、緑のキウイフルーツが一番好きなので。

 

– キウイフルーツ生産の年間スケジュールを教えてください

均さん 1月~2月は剪定の作業をします。伸びた枝を切り、樹全体にバランスよく枝を配置します。3月下旬~4月に発芽したら、そのあと摘蕾作業(蕾の間引き)が始まります。5月は授粉作業をします。
園にある樹は全てメスなので、ニュージーランドから輸入したオスの樹の花粉をつけていきます。
授粉して何日か経過すると結実し、その後、摘果作業に移ります。日差しが強くなってくるとキウイフルーツが日焼けしてしまうので、枝葉が日傘になるように配置します。10月から11月中旬にかけていよいよ収穫の作業です。11月~12月はお歳暮の贈答販売を直販。年が明ければ、JA東京むさし三鷹緑化センターの販売を開始します。

 

– 三鷹ではキウイフルーツが特産品ですよね。なぜ三鷹でキウイフルーツ生産が始まったのでしょうか?

均さん 日本でキウイフルーツ生産が行われるようになったのは、生産過剰となったミカンの転換作物として注目され始め、ミカンの産地を中心に拡大してきたと言われています。
なので、静岡・神奈川・愛媛・福岡など、みかんを盛んに生産してる県とキウイフルーツを生産している県は比例しています。
うちでキウイフルーツ生産が始まったのも、親戚が湯河原に行ったときに、周りの畑でキウイフルーツが生産されているのを見かけたことがきっかけです。
東京の中で一番のキウイフルーツ生産量を誇るのが三鷹です。東京都の総生産量が339トン(2018年時点)で、三鷹の生産量は約70トンです。三鷹では、本格的にキウイフルーツを販売している農家が12軒います。よしの園では毎年約7トン生産してます。

 

– 均さんが継ぐ覚悟を決め、キウイフルーツをはじめたときのエピソードがあれば教えてください

– 酸っぱいから甘い果物へ 均さんの中でキウイフルーツ革命が起きた

均さん 私が子どもだった頃のキウイフルーツは酸っぱくて、あまり好きではありませんでした。その頃の印象が強くて、大人になってもキウイフルーツを食べる機会はありませんでした。
食べるとすれば、スイーツに添えてある時くらいですかね。果物としての美味しさを期待してキウイフルーツを食べることはありませんでした。

 

結婚する前の話ですが、父が「これ、食べてみな」と言いながら、包丁を使わず両手で割ったキウイフルーツを手渡してくれました。食べてみると、今まで敬遠していたはずのキウイフルーツが、本当に甘くて、美味しかったんです。衝撃でした。
この感動を多くの人にも知ってもらいたいと感じたことが、今の私の原点です。
三鷹のキウイフルーツを食べたことがない三鷹市民はまだまだ沢山いると思います。どうしても昔の酸っぱい味を思い出して、キウイフルーツを手に取りにくい方はいますよね。
でも、実際に三鷹のキウイフルーツを食べた方から「甘くて美味しかった」という感想を頂けます。三鷹のキウイフルーツの美味しさを、より多くの地域の方に広めたいですね。

 

キウイフルーツを確認する吉野均さん

 

– 生産した農産物の販売で工夫されていることなどありますか?

均さん よしの園のロゴや直売所ののぼり、同封するリーフレット等を制作して、園や私たち生産者を知ってもらうようにしています。ネット注文等も取り入れ、様々な試行錯誤を繰り返してきた結果、少しずつ成長してきました。
東京都GAPを取得もしました。作業場が整理整頓され、農作業自体の改善・効率化ができたと感じています。

 

キウイフルーツを直売以外でも地域の飲食店にも提供しています。
2023年8月時点で、トーホーベーカリーさん、うーおの森さん、wata焼き菓子さん、サンドイッチハウス サンドーレさん、ムサシノ野菜食堂miluna-naさんでよしの園のキウイフルーツを食べることができます。
飲食店さん経由で三鷹のキウイフルーツを知ってもらう機会になればと思ってやっています。

 

よしの園の販売所では旬に合わせたかわいい手書き看板も

 

– 都市農業ならではの生産者のメリットはあったりしますか?

均さん 収穫体験を始めてより強く感じましたが、「おいしい」「子どもが食べれるようになりました」など、消費者の方の声を直接聞くことが出来るのは嬉しいですね。私が初めてよしの園のキウイフルーツを食べて受けた感動と同じ体験を少しずつ共有できていると感じています。ただ生産から販売までの過程をこなすだけでなく、販売した後を見届けられることが都市農業のメリットです。収穫体験だけではなく直売所も含めて、消費者の皆さんとの繋がりの場として農地を開放することで、都市農業、農地を残すことにも繋がったらいいなと思います。消費者の反応を見ることのできる距離感を保ちたいですね。

 

よしの園で開催したキウイフルーツ収穫イベントの様子

 

– 今後の展望を教えてください

均さん 都市農業により市民を巻き込めるように、収穫体験の幅を広げたいですね。2021年からみかん狩りを始めました。
地域の方の笑顔を直接見ることができるうえに、収穫・袋詰め・販売の時間を短縮できて、一石二鳥でした。
父と二人では労力に限界があるので、例えばキウイフルーツの蕾の間引きや収穫など割と簡単にお手伝いいただける農作業は市民の方と一緒に楽しみながらやっていきたいです。
今はみかん、キウイフルーツの収穫体験イベントをおこなっており、コロナが始まってから足を運んでくださる方が増えたと感じました。
今後は、みかんやキウイフルーツだけでなく、栗など農作業の体験を提供できる品種を増やしたいですね。

 

– 均さん、ありがとうございました

吉野均さんの生産品リスト
 キウイフルーツ、みかん、柿、栗、タケノコなど
たけのこ、

 

よしの園が生産した農産物が購入できる場所

よしの園直売所
https://machino.tokyo/place/yoshinoen/
 

サービスショット

取材:中原那都 / 林瑠華 / 苔口 昭一
文 :中原那都 / 林瑠華
撮影: 苔口 昭一
 

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